千葉県長生郡長柄町は千葉県のほぼ中央に位置し、小高い丘の合間に田畑が広がる。素朴な風景の農村地帯ですが、丘には竹が繁茂し、竹藪と化しているところが多い。千葉県全体でも竹への対処が大きな課題となっています。
NPO法人「竹もりの里」では、ここ8年、竹林整備活動を行って来ましたが、幹径15cmを超える孟宗竹が乱立し、人力では手におえない状況から、マッシュプーリー木材搬出システムを導入し、作業の効率化を図ろうとしています。
今年の夏は特に暑く、高さ20mにも満たない丘を登るだけでバテてしまい、作業の機械化は必須の状況です。
7月21日は15名ほどの関係者が集まり、距離約100mの搬送作業を行いました。搬送区間の地形はM型の断面であるため、ふたつのピーク地点に基本マッシュプーリーを設置するとともに、一方のピーク地点で約30°曲進させました。
駆動装置を設置した麓側の広場に2トントラックを乗り入れ、駆動装置のアンカーとしました。
また、山の奥側で末端滑車に張力を与えた場合、常に山の奥まで登り張力の監視・維持が必要になり、大変な労働となります。そこで今回は、末端滑車のアンカー地点に固定滑車を設置し、この固定滑車に別系統のロープを掛け末端滑車を引張り、麓に近い地点で張力を与えることにしました。映像の中で、青色のロープ(スタティックロープ)が張力を末端で迂回させたロープです。さらに、M型地形の凹地点では、メインロープが頭上はるか5m上空になってしまい、マッシュキャップが地面に着かず作業できないので、中型搬器とマッシュキャップの間に「荷下げ滑車」を装着し、上空の中型搬器からマッシュキャップがロープで下りて来るようにしました。
映像に見るように、目標とした全竹3本(計160kg超)が楽に搬送され、終点の広場に到着しています。竹林内では、アンカーや機材を支持するための竹が豊富に点在しているので、ルートの選定も比較的容易でした。また、基本マッシュプーリー等を竹に吊る際には、ロープではなく、リング状のスリングベルト(オープン スリング)を利用するのが便利で、竹に巻くだけで滑り落ちません。
昼には搬出した青竹を活用して現場で「そうめん流し」を行い、器や箸も青竹で手作り。10時と3時には大きなスイカを皆で戴き、しばし暑さを忘れ和やいだ。このような余興も現場ならではです。
尚、「竹もりの里」では、広場に集めた竹を、簡単な方法で炭にし(広場で)、炭を田畑等に撒き、土壌のアルカリ化(中和)を進めています。また、竹を粉砕したものを堆肥にし、畑に撒くだけでも、野菜の味が甘くなるそうです。